【 はじめに 】

   常識とは時代と共に変化し続けます。技術革新、環境問題、社会情勢、様々な要因が与える変化に適応し、社会がその形を変えていくからです。世界に猛威を振るい、今なお予断を許さない新型コロナウィルス(COVID-19)感染症によって様々な変化が起こり、人の行動の様式が見直され、適応するための技術が広がり、新たな常識が浸透していきました。しかし、この常識が生まれる過程に起こった行動の制限は、経済のみならず人々の心にも負担を与えました。それは他者への不寛容な行動にも現れ、問題を浮き彫りにしたように感じます。

 近年、日本にはどこか利己主義に近い個人主義が浸透してきました。また、経済成長に伴い生活の利便性は向上し社会を豊かにした反面、生活における相互扶助の必要性を薄めてしまい、これらの要因が“ひと”のつながりの希薄化を生み出し、この影響は様々な社会問題へとつながったのではないでしょうか。

 私たちは同じまちに共に生きています。「住んでいる」ではなく「生きている」という観点をもてば、共に生きる人と手を取り合うことの必要性を感じることができます。そして、価値観に対する「心の柔軟性」をもち、価値観に寛容であれば、共に未来を切り拓く新たな価値創造への可能性に気付くことができます。誰もが同じ価値観で生きていくことはできず、一つの価値観しかない社会は発展することはありません。「心の柔軟性」をもつことが個人の価値観を尊重することを可能にし、他者への批判的な行動の抑制となり、地域における人の活性化につながります。そして、個の違いから新たな価値を創造することのできる真の個人主義社会の実現を可能とします。同じ地域に生きる人たちが誰かに任せるのではなく、個をもって共にまちを創るという想いに溢れた地域は、誰もが輝き明るい未来への可能性に満ち溢れた地域になると確信します。

 1971年12月11日に大東青年会議所は全国で476番目の青年会議所として認証され、1972年より「明るい豊かな社会」の実現に向けて歩み始めました。そして本年、その歩みは50年目となり創立50周年を迎えます。多くの先輩諸氏がその時代における課題に真摯に向き合い、描いた未来にむけてご尽力された歩みは大東青年会議所の価値を高め、その実績が地域における信頼を築き上げてきました。その根幹にある熱い想いは大東青年会議所の揺るがぬ信念として私たちに受け継がれています。いつの時代も「明るい豊かな社会」の実現という理想へ向け、走り続けることに私たちの存在意義があると胸に刻み、邁進してまいります。

 

【 持続可能な組織運営と共感を生む情報発信 】

 青年会議所はどこからの補助金にも頼らない団体であり、会員の会費に基づき運営しています。独立自尊の団体であるからこそ、組織としての在り方のベクトルがぶれない、強固な土台となる組織運営が必要不可欠となります。常に冷静に組織に目を向けながら入念な準備をおこない、当たり前のことを当たり前に遂行するための不断の努力をもって組織を運営することが求められます。そして、組織が最善の意思決定をおこなうための時流に適応した基盤を築くことが重要です。組織としてのベクトルを保ち、パフォーマンスを最大限に発揮し続けることが、青年会議所が持続可能な組織として存続するために必要不可欠です。

 私たちを取り巻く環境は近年大きく変化しました。スマートフォンの普及率は85%を超え、SNSや動画サイト等の新たなツールによる情報発信や情報収集が当たり前となっています。多くの情報が溢れるなか、情報発信は一方通行に発信するだけでは埋もれてしまい、その効果を発揮しません。共感を生む発信をおこなうことができれば、運動の輪を広げることにつながります。私たちが何を想い、まちに何をもたらしたいか、伝わるように相手をイメージした工夫が必要です。ツールとしての機能が優れ、発信を容易におこなうことができる環境になったからこそ、伝える情報に意味を持たすことが重要となります。

 情報発信は単なる広報ではなく、運動の波及効果を高めるものであることが理想です。共感から参画へとつなげ、参画がさらなる共感を生みだすことで運動の輪が広がり、大東青年会議所のブランディングにもつながると確信します。

 

【 共に学び、守る青少年の未来 】

 日本の青少年は海外と比較すると、自己肯定感が低いという傾向が見られます。自己肯定感の低さは自身の可能性を信じることができず、夢を描くことを困難にしてしまう可能性があります。また、国連児童基金が先進・新興国38カ国に住む子どもの幸福度を調査した報告書では、日本の子どもは生活満足度の低さ、自殺率の高さから精神的な幸福度が37位という結果が発表されました。身体的健康や経済的指標においては比較的恵まれているという結果に対し、学校のいじめや家庭内の不和などを理由に幸福を感じていない実態が明らかになりました。この問題に真摯に向き合い、青少年が輝くことのできる未来へ向けた運動発信をおこなうことこそが私たちが為すべきことです。

 青少年は当然ながら大人の影響を受け成長していきます。大人が他者への思いやりがない姿を見せてしまえば社会の在り方に残念な思いをもつでしょう。個性を尊重してもらえなければ将来に夢をもつことは難しいでしょう。地域の大人の在り方は青少年の健全育成にとって大きな要因であり、子どもの可能性を尊重し、思いやりの心をもって接することが必要不可欠です。家庭・地域・学校においてのコミュニケーションが青少年にとって学びの場であり、私たちも共に学んでいかなければなりません。子どもの可能性は私たちが思うより大きいものです。この可能性こそが未来への希望であり、私たちが守るべきものです。社会の変化が目まぐるしい近年だからこそ、私たち大人が手本となる背中を見せることができているのか、正しく接することができているのかを自問する必要があるのではないでしょうか。青少年はいま、私たちが青少年であった時代と違う時代を生きています。時代と共に変わる常識のなか青少年の可能性を最大限に広げるためには、大人も子どもと共に成長する必要があります。共に学び、共に歩み、サポートしていくことで、青少年が未来に希望を持ち、前向きに生きる活力を持てるまちの実現へつながると信じております。

 

【 共に創るまちへの想い 】

 大東市には誇るべき歴史や文化、そして残すべき自然や伝統があります。この大東市の魅力を発信すべく、大東青年会議所を含め多くの団体が活動していると共に教育機関も様々に存在し、産官学がまちづくり運動に活発なまちです。しかし、地縁団体などの地域コミュニティは減少傾向にあり、地域の活動にも少なからず影響があります。行政サービスや市場におけるサービスの充実と個人の生活様式の多様化に伴い、生活における相互扶助の必要性が薄まり、近隣を始めとする地域の人間関係が希薄化したことが要因の一つに考えられます。そして、この現象は地域の問題を協働して解決する地域力の低下の要因にもなり、防災・防犯・福祉・環境などの生活における課題に取り組む力の低下を招きます。持続可能なまちづくりにおいて、この地域力は地域の課題解決において必要不可欠です。

 地域を構成する大きな要素はやはり“ひと”です。そして“ひと”の価値観は時代と共に多様化しています。

しかし、この異なる価値観に不寛容になると、生活のニーズを満たす地域コミュニティの再生・創造が阻害され地域力の上昇は困難となります。また、日本のグローバル化は今後も加速していき、地域を構成する“ひと”もより多様化していきます。多文化共生において価値観の違いは必ず存在し、少子高齢化のなかで未来の地域活性を考えたとき、他者との違いを認め合い、互いを高め合うダイバーシティの意識醸成が未来への懸け橋となります。

 地域において共に生きているという点で、地域に関わる人の課題は共通しているはずです。この課題に対応するためにも、価値観の違いを認め合い、共に地域を創るという想いを高めることで、地域住民のみならず、産官学も協働した、まち全体でのまちづくりが可能となり、安心や充実を得られる「明るい豊かなまち」へつながると考えます。

 

【 価値を生み出す交流の創出 】

 2020年に起こった新型コロナウィルス感染拡大が社会に及ぼした影響は大きく、人の交流における社会様式は今後も変化し続けていくと考えられます。人との直接的な接触における安全性が求められると共に、インターネットを利用した間接的な交流の機会が増加し、人のコミュニケーションのカタチも変化していくと考えられます。

 カタチは変われども、地域の活力のために交流は必要不可欠です。産官学や地域において魅力ある事業をおこなっている様々な団体との交流から、まちづくり運動の相乗効果を生み出すことが可能となります。地域の課題を解決し、よりよくしたいという想いをもった団体が多数存在し、活発に活動していることも大東の魅力の一つです。これらの団体の特性と私たちの運動を掛け合わせることで生まれる可能性は大きな広がりをもち、それを実現する原動力こそが交流です。

 また、地域に新たな視点や発想をもたらす交流も地域活力の向上のためには重要な要素です。地域における課題は複雑化しており、課題解決には多角的な視点をもつことが効果的です。客観的な視点は既存のコンテンツに新たな価値を生む可能性を秘めています。地域に関わる人が多様化していくからこそ、価値観の違いを認識することが重要であり、そのためのツールが交流です。新たな発想、そして価値を生み出し、地域活力の向上へとつながる機会の創出が、地域の明るい未来への懸け橋となる運動となります。

 

【 組織と会員の好循環 】

 組織において人が財であり、その活力が組織の強さの一つの指標となります。会員がその能力を最大限に発揮し、運動に取り組むことが組織力を向上させます。そのためには青年会議所が会員にとって魅力的なフィールドであり、学びの場であるべきです。

 青年会議所では単年度制のなか、様々な役割において能力を発揮することがもとめられます。その役割を通して得る経験は自身の視野を広げ、青年経済人としての資質を高める絶好の機会となります。リーダーの役割にはフォロワーを牽引すると共に、意見を拾い上げ、当事者意識を醸成しフォロワーを活性することが求められます。フォロワーはリーダーを支えると共に、運動を創り上げる当事者として積極的に行動することで組織の活性化の原動力となります。しかし、これらの役割にどれだけの熱を注ぐかで得られる学びの量や質は変わります。

 入会動機、職業、出身地や居住地も様々で会員が多様化しているからこそ、青年会議所として互いの価値観を尊重し、高め合う質の高い議論をおこなうことがより重要になります。質の高い議論は会員に新たな刺激を与え、思いやりの心をもって支え合うことは絆を深め、自然と運動に熱が生まれます。創り上げた運動に熱をもって取り組み、最大限の学びを得ることが組織と会員、双方が向上する好循環を生み出すと確信します。

 青年会議所はひとづくり団体であり、JAYCEEとして限られた時間を走り続け、得た経験を自身の仕事や家庭に活かし、地域や社会に貢献することのできる人材を育成することも大事な役割です。地域に人財を輩出し続ける価値ある団体であり続けるためにも、組織の原動力である会員活性に注力してまいります。

 

【 未来へつなぐバトン 】

 我々、大東青年会議所には志高いメンバーの運動発信によって、常に地域に意識変革を生み出し地域に貢献してきた歴史があります。この歴史を受け継いだ私たちは未来へのバトンをつなぐべく、持続可能な組織をめざし拡大運動をおこなってまいります。多くの団体が存在し「JCしかない時代」が終わりを迎えたなか、選ばれる団体となるべく私たちが伝えるべきことは何か。「JCでしか得られないモノ」は確かにあるということです。

 先輩諸氏が奉仕・修練・友情のJC三信条を行動基本とした社会貢献への理念をもとに活動されてきた歴史や、実績によって高められた信用のもと私たちは個人では経験できないスケールメリットのある事業に取り組むことができます。そして、これまでの歴史において洗練された課題解決へ向けたノウハウを学ぶことも、世界規模の組織であるからこそ得られる学びの機会の体験や、歴史ある組織の絆を感じることもできます。そして何より素晴らしい“ひと”との出会いがその価値です。「明るい豊かな社会」の実現という共通目的のもと、会員が切磋琢磨し、事業を創り上げることによって得られる絆や学びは「JCでしか得られないモノ」です。青年会議所は最高のひとづくり団体であり、魅力ある学びの場であると熱意をもって伝え、志を同じくする仲間を集い未来へのバトンをつないでまいります。

 

【 創立50周年への想い 】

 大東青年会議所の「明るい豊かな社会」の実現に向けての歩みは本年度、創立50周年の大きな節目を迎えます。時代と共に運動発信の内容は変われども、まちづくり運動の根幹にある熱い想いは変わらず、私たちに脈々と受け継がれています。先輩諸氏が築いてこられた歴史の重み、高めてこられた青年会議所の価値、そして地域における信用の大切さを胸に、50年から未来へ向けた運動発信をおこなってまいります。

 私たちは10年に一度、地域の未来を描いた10年間のビジョンを策定します。ビジョンとは地域へ向けた私たちの想いであり、本気で実現したいと思う未来への道標です。その根底には私たちが受け継いできたまちへの想いがあり、このビジョンのもとメンバーが一致団結することで、地域に向けて力強く発信してまいります。そして、大東青年会議所の運動に共感していただき、ビジョン達成へ向け、共にまちを創るパートナーとして地域とより協働することのできる契機となる創立50周年を創出してまいります。

 創立から絶やさずにおこなわれてきた大峯登山も50回目の節目を迎えます。時代と共に見直す点もあることは確かですが、先輩諸氏が歩んでこられた同じ道を歩むことで修練と友情を体感し、常に大東青年会議所メンバーの運動への意識向上に寄与し続けてきた大切な伝統です。

 歴史とは想いの積み重ねであると私は考えます。私たちは歴史を継ぐ者として、大東青年会議所の歩みを振り返り、本気でまちづくりに貢献する高い志をもつ組織として、承継すべき熱い想いを胸に刻み、未来へ紡いでまいります。

 

【 むすびに 】

 私は入会以前から父の影響で大東青年会議所に所縁がありました。自身が青少年である時代に関わった青年会議所の事業、そして自身が入会してから得ることができた出会いや学びが私の中で生きています。まちづくり運動を通して経験した様々な困難に挑む勇気、仲間に支えられ乗り越える喜び、多様な仲間の価値観から得ることのできた新たな感性、自分の限界を超えさせてくれる仲間との絆、その全てが私を育ててくれました。これらは先輩諸氏がご尽力されてきた50年の歴史が生み出した大東青年会議所の素晴らしい組織としての伝統のおかげです。

 創立50周年、その歴史、地域への熱い想いのバトンをしっかりと引き継ぎ、未来へとつなげていくことが私たちの役目です。地域に求められる存在であり続けるためには、地域の課題を解決するため真摯にまちと向き合い、懸命に知恵を振り絞り、理がある運動を創造し、熱い想いをもって発信していく必要があります。理がない運動も熱がない言葉も人の心を動かすことはできません。私たちは人の心を動かす意識変革の団体であること、そして共に歩んできた地域の人々をはじめとする各種団体、行政の皆様への感謝の気持ち胸に「明るい豊かな社会」の実現にむけ、誠心誠意努めてまいります。

 

第50代理事長 大東 洋弌