所 信

【はじめに】

幼い頃、私たちは将来への夢や憧れを追い求め、未知の体験に好奇心を抱き、キラキラと輝く目を持って毎日を過ごしていたかもしれません。その夢や憧れは学生時代に何度も困難な壁にぶつかり、度重なる失敗や挫折を繰り返し、目標の軌道修正をしながら、明るい未来を思い描き、人生を歩んできたことでしょう。しかし、時が経つにつれ、大人になり、いつの間にか日常生活や仕事に追われ、理想を追求することを諦め、現実的なことにとらわれる日々を過ごしてきたかもしれません。

近年、我が国の社会情勢は長いトンネルを抜け、ようやくウィズコロナからアフターコロナへの転換が進んでいます。それに伴い、経済の正常化への期待も高まっていますが、この数年続いたパンデミックにより失われたものは大きく、少子高齢社会の進行、様々な業種における労働人口の減少、出生率の低下などの社会課題は未だに改善されていない現状です。さらに、国際社会に未曽有の衝撃を与えたロシアによるウクライナ侵攻により、JCが掲げる世界平和が根底から揺さぶられ、我が国の社会全体に不透明な不安が広がっています。

このような予測困難で混沌とした社会情勢の中だからこそ、私たちは個々の力を結集させて理想的な世界を夢に描き、人々の笑顔が溢れる地域を実現するというロマンを抱き、ひたむきに行動する必要があると考えます。これが、私たちJAYCEEとしての揺るがぬ使命だと考えます。そのためには理想を現実のものにする覚悟と信念を強く持ち、どんな状況にも前向きに捉え、目的を達成するために最後までやり抜く行動力が必要です。私たちは地域に根差す青年会議所として「明るい豊かな社会」の実現に情熱を注ぎ、JC運動を展開してまいります。

 

【組織の要】

1972年に創立した大東青年会議所は本年53年目を迎え、創立55周年という節目が近づいてきています。創立55周年に向け、ここからの3年間は変化を恐れず挑戦する信念を持ち持続可能でフレキシブルな組織をめざしていく必要があります。そのためには、組織の要となる盤石な基盤づくりが必要不可欠だと考えます。企業においても、組織の要となる部門が安定した基盤を持たなければ、急激な変化や不確実な社会情勢に適応できず、事業やプロジェクトの成功に大きな影響を及ぼす可能性があります。青年会議所でも同様に、堅固な基盤が組織全体の安定性と持続性に好影響を与え、戦略的な事業展開や広報活動にも必ず寄与します。しかし、組織を健全に運営し適切な管理をおこない、確実に日々の職務を遂行することは容易ではないとされています。まずは、日々の準備を確実におこない、業務や管理プロセスを見直し、組織の最適化を図ることが、独立自尊の団体において大きな原動力を生み出すことにつながり、持続可能なJC運動を展開することが可能になります。さらに、先行き不透明な社会情勢の変化に対して果敢に取り組み、組織の基盤を強化することで、よりよい未来を築くことができると考えます。この創立55周年に向けた弛まない準備と日々の努力は、組織の成長と地域社会への貢献に必ずつながると確信しています。

フォームの始まり

【戦略的な広報ブランディング】

広報ブランディングにおいて重要なことは何か。それは、情報発信の手段や仕組みはもちろんのこと、まずは、私たち自身が誰に何を伝えたいかを明確に設定し、組織の方向性を示すことです。大東青年会議所としてのビジョンを今一度しっかりと認識することから始まり、地域の方々に我々のJC運動の理念やJC活動の目的を正確に伝え、透明性と誠実さを浸透させることが必要です。そのうえで、効果的な情報発信ツールを選定し創意工夫することで、運動発信のターゲットに適切なメッセージを届け、地域において運動発信のサポーターとなるセカンドクリエイターの創出をめざしてまいります。また、ブランディングに不可欠なのは、私たちメンバーがJCにしかない理念、強み、魅力を深く理解しブランドアンバサダーとしての役割を果たすことです。そして、組織への誇りをより一層醸成し、自己を律し、JC活動に情熱を注ぐことで、メンバー全員が自信を持って組織の強みを外部に広める環境を整備します。その結果、大東青年会議所の地域での認知度向上につながり、地域の方々にJCだからこそと選ばれ続け、信頼される団体へとつなげてまいります。

【青少年の未来を創造】

他の先進国と比較し、日本は最も進んだ少子高齢社会に直面しています。さらに、これからも人口減少・少子高齢化は加速すると予測されています。この時代背景において、地域の宝である子どもたちの環境はこのような課題に加え、地域での教育問題、デジタル格差、環境問題、安全とセキュリティー課題など多くの課題に直面しています。したがって、子どもを持つ親や周囲の大人たちは、予測不能な未来に立ち向かい生き抜くためにも子どもたちの環境を充実させることが喫緊の課題です。青年会議所としても、子どもたちが明るい未来に向けて進むことを支え、地域の身近な応援団として寄り添う役割を担うことが非常に重要です。

まず、子どもたちの個性を最大限に伸ばすため、スポーツを通じて地域社会を活気づけ、多様な才能が輝ける機会を創出することをめざします。また、国際的に最も盛んなスポーツとされるサッカーを通じて地域の子どもたちに勝ち負けを経験しながら、仲間と力を合わせる価値や他者を思いやる精神を育むことが重要だと考えます。そのうえで、地域交流の活性化へとつなげ、地域の方々において交流の促進に寄与します。さらに、AI技術の進化に伴い、感性や表現力などのエモーショナルな能力がますます重要となる未来において、子どもたちが地域の方々の前で想像力豊かな夢や理想を表現し、自己肯定感を高め、感性を磨く機会を提供することが必要です。

子どもたちは私たちの想像を遥かに超えた潜在能力を秘めています。その可能性を最大限に引き出し、地域の未来を担う子どもたちにとって人生における困難や逆境を乗り越えるための生き抜く力を育む青少年事業を推進し続けます。地域の宝である子どもたちの明るい未来と成長を支え、共に素晴らしい未来を築くために取り組んでまいります。

 

【共感の輪】

青年会議所の拡大運動は、各地青年会議所やブロック協議会、地区協議会、ひいては日本青年会議所のなかでも、非常に重要なJC運動と位置付けられています。この運動は青年会議所が設立された時から、「新日本の再建は、我々青年の仕事である」という志を立て、一度も欠かすことなくおこなわれてきたJC運動です。大東青年会議所においても、多くのメンバーが高い志を持ち、その志に共鳴した仲間を拡大し続けてきたからこそ、先輩諸氏から受け継がれてきた想いを承継し、次の世代へとバトンがつながれてきました。しかしながら、JCしかない時代からJCもある時代に様変わりし、ビジネスを目的とした様々な団体へ参加する選択肢も増えたことや、人口減少による責任世代の減少に伴う要因などにより全国的な会員数の減少は歯止めがかからない状況となっています。本来であれば、私たちが魅力ある事業を展開し続け、地域に認知される存在となれば自ずと会員数は増加するかもしれません。ただし、現実はそう単純ではありません。今の時代は様々な社会情勢も関係し、会員減少は容易に解決できない課題といえます。

しかし、私たちは40歳までという限られた時間のなかで、真剣に地域の未来に対する情熱を持ち、青年会議所の奉仕・修練・友情のJC3信条を胸に、共に歩む仲間を大切にし続け一歩ずつ邁進していかなければなりません。そのためには、性別、職業、国籍、立場に関わらず、何か現状に満足していない、何か学びたい、一度きりの人生に真正面から挑戦し自己成長したい、そのような多様であり志高い仲間を増やす必要があります。なぜなら、地域の未来をよりよくする事業は一人でも多くの志高い仲間を巻き込み共感の輪を広げ、共に歩むからこそ実現可能となるからです。人と人とが真剣に向き合い切磋琢磨するからこそ、かけがえのない仲間と友情を育み、地域を牽引することのできるリーダーを輩出し続けることができ、地域に選ばれる持続可能な組織になると確信しています。

 

【新たな価値の創出】

我が国において海外諸国と比較し直面している課題は深刻です。そのなかでも、喫緊の課題とされているのが人手不足による国内市場の縮小や、社会の変化や科学技術の進歩への適応が遅れていることなどが挙げられます。これらの要因により、国内企業の魅力が低下し、ますますイノベーションが生まれにくい環境が広がり、さらなる経済成長力の低下が懸念されています。しかし、日本国内には、独自の技術やアイデアを駆使し成長を遂げ、世界へアプローチし成功をおさめている地方企業も数多く存在しています。地域の企業や団体がイノベーションを推進し、様々な事業や新たな価値を見出していくことが、地域経済の活性化、ひいては日本の経済成長にとって今後さらに重要な要素になるといえます。

また、私たちが活動する大東市に置き換えても、素晴らしい地域資源や伝統文化などが数多く存在します。飯盛、生駒を東にのぞむ美しい風土や大東八景、また約300年続く伝統行事の野崎参りや各地でおこなわれる地車曳行、そして人情味溢れる地域の人々が優しく調和しています。これらの現存する地域資源を活かし、大東青年会議所がリーダーシップを発揮し、地域住民や関係諸団体のニーズを理解し、未来を見据える長期的な視点から、新しいアイデアや発想をかけ合わせることが重要です。そして、柔軟な思考をもって変化を恐れず前向きに地域に新たな価値を生み出すことができるイノベーションを推進していく必要があると考えます。そのためにも地域をよくしたいという共通のビジョンを持つ企業や団体と固く手を取り合い、既存の方法やアプローチだけではなく、異なる視点で新しい価値を創造し進化させ、地域の発展をめざし大きなインパクトを与える事業を展開し邁進してまいります。

 

【思いやり溢れる交流】

大東青年会議所が創立より先輩諸氏が情熱を注がれ築き上げられた歴史は53年目を迎えます。長きに亘り受け継がれてきた50余年という歴史は、先輩諸氏の本気でこの地域をよくしたい、本気で地域の子どもの未来をよくしたいと考える確固たる使命感と揺るがぬ信念である大東スピリッツによるものです。この情熱溢れる想いは今でも私たちに脈々と承継されています。そして、その誇りある想いは絶やすことなく未来へと私たちメンバーが次の世代へと確実につないでいかなければなりません。そのためには、先輩諸氏への変わらぬ感謝の気持ちと敬意を胸に、メンバー一人ひとりが積極的に先輩諸氏と交流をはかり受け継いでいく必要があります。

これからの組織に求められることは、地域をよりよくしたいと同じビジョンを持つ関係諸団体や、志を同じくする他LOMとの思いやり溢れる交流が重要だと考えます。また、メンバー同士がJC活動を精一杯おこなえるために相互理解を深め連帯感を醸成することも必要不可欠です。そして、誰かが一人では乗り越えられない壁にぶつかり、助けが必要な時は、率先して手を差し伸べる姿勢が信頼関係を向上させ固い絆を生み出します。このような、思いやり溢れる交流が相手の立場や組織の垣根を越え共感力を育み、温かく良好な関係の構築につながると確信します。その結果、大東青年会議所は、持続可能な組織となり、これまでの歴史とこれからの未来を強固に結びつけ、成長と進化を遂げていきます。

 

【パートナーシップの推進】

地域の持続可能な発展と成長に必要な要素は何か。それは、間違いなく大きな原動力を持つ若者たちの斬新な想像力と爆発的なエネルギーであると考えます。若者は地域の未来を担う重要な世代です。この地域の社会課題である、様々な分野において、青年会議所と若者がパートナーとなり共にリーダーシップを発揮し、課題解決に向けて共に歩み行動することが重要です。そのため、私たちが掲げた創立50周年ビジョンをもとに、若者たちと共に多様な価値観や個性を認め合い、まちづくり運動に対して主体的な参画を促し当事者意識を醸成させます。そして、若者と共に地域に求められる事業を展開することで、爆発的なインパクトを与え、大きなムーブメントを起こすJC運動となると確信しています。

また、単年度制の事業とはいえ、青年会議所は地域の課題解決に向け、地域の方々の意識変革を起こし、自走可能な仕組みを生み出すことをめざすという重要な目的があります。しかし、今後の持続可能なJC運動を展開していくためには限られた財源や人材だけでは、困難な場面がでてくると予想されます。我々は、今こそ地域での社会課題を解決していくためにも、掲げるビジョンや方向性、理念に共感していただけるステークホルダーと協働し、強固なパートナーシップを推進していくことが地域の「明るい豊かな社会」の実現に向けた仕組み作りでもあり、地域に寄り添うJC運動であると確信しております。

 

【周囲を鼓舞するリーダー育成】

組織においてのリーダー像は、個人の価値観や考え方により様々で多様な個性が尊重されるのは当然です。そのなかでも私が考える青年会議所においての今後求められるリーダー像は、今までの大きな背中で語るタイプのリーダーも必要な要素であるが、今後はトップダウン型だけでは無く、ボトムアップ型の要素も組み合わせ、モチベーターとしての資質が求められると考えます。モチベーターとは周囲の行動や努力をサポートし共に歩み、積極的で細やかなコミュニケーションとポジティブな考えで周囲を鼓舞できる人間だと考えます。さらに、昔ながらの常識や固定概念だけに捉われず、不易と流行を見極めながら失敗を恐れずに積極的に挑戦する姿勢が必要不可欠です。

また、青年会議所は個の集合体であり、人は人でしか磨けないと言われるように、日々のJC活動においてメンバー全員が自己研鑽を積むことで、周りの仲間と切磋琢磨し成長することができる組織です。しかし、同時に自身の行動や姿勢が周囲の仲間や、組織に与える影響を考慮し、常にポジティブな影響を与えることをめざし意識して自身の役割を努めることも重要です。個の集合体が、自己的ではなく、利他的な考えで仲間に寄り添い、役職や立場に関係なく、本気で仲間の成功と成長を願い行動する組織になれば、間違いなく導く情熱溢れるリーダーを育成し、地域に輩出し続けることができると確信しています。

 

【むすびに】

私は大東青年会議所に入会し、11年目を迎えました。

自分自身の限りある時間に置き換えると、96360時間をJCと共に歩んできたことになります。まずは、この学び舎でJC活動に取り組むために支えていただいた全ての大切な方々に心より感謝申し上げます。

 

一度きりの人生において、今だからこそ自分自身が大切に思うことは、

好奇心と行動力であると考えています。

好奇心があれば未知の経験においても、幼いころに抱いた「やってみたい」という衝動にかられ自分の心は揺さぶられます。そして、勇気をもって一歩踏み出すことで新しい価値観や可能性が無限に広がります。もちろん、失敗することもありますが、それさえも前向きに捉えることができれば、山あり谷あり、紆余曲折、人生にロマンを与えてくれます。

一方で、行動力は今後も不確実で不透明な混沌とした時代を生き抜くうえで、大切な力だと考えています。誰かの後ろをついていくだけでは行動力は養えません。正解が見えずとも判断が必要な時は幾度となく必ず訪れます。その際に、自分が信じた道を正解に導くために必死に突き進む行動力こそが、JCにおいても社業においても必要な力だと思います。

 

また、青年会議所は一人ひとりが会費を出し、メンバーの発展と成長の機会を提供し、リーダーを育成する人づくり団体であります。

青年会議所においては、誰かが決して偉い訳ではなく。一人ひとりが全員主役であり、自身の殻を破る勇気をもって目の前に訪れた機会を掴み取り成長につなげて欲しいと考えます。

 

困っている誰かのために、助けが必要な誰かのために、自ら手を差し伸べよう。

見返りを求めない無償の愛こそが、私たち日本人として、誇りであり誰もが忘れてはいけない和の心です。

40歳までの限られた時間の中で、本気でJCと向き合えば必ず人生観が変わります。

地域の未来を変えられるのは私たちJAYCEEです。明るい未来をめざし、強く前向きにやり抜こう。