田中 恒成

 

 

 

所 信

 

【はじめに】

大東青年会議所は1972年に大東を愛する志高い先輩諸氏によって創立され、本年度で54年目を迎えます。時代を超えても課題がある中、地域を導く団体として、これからも歴史を刻み課題解決に取り組み続けなければなりません。来年度の創立55周年を見据えて、今一度メンバーとの強固な信頼関係を築き、組織が一丸となって共通の目標に向かって進むためには青年会議所の基本理念である「奉仕」「修練」「友情」を体現し、メンバー一人ひとりが当事者意識を持って行動することが重要です。2021年に創立50周年ビジョンにおいて掲げられたスローガン“想像力で切り拓け~想い合う「ひと」優しい「まち」の創造~”が定められました。これは10年計画のスタートを示すものであると同時に大東青年会議所が未来に向けてめざすべき方向を明確にするものです。そしてそのスローガンに基づき54年目では10年計画の中間点を意識して検証をおこない、めざすべき未来を見据えて「明るい豊かな社会」の実現をめざし運動を展開してまいります。

また、近年の災害の激甚化・頻発化により、甚大な被害が発生しています。様々な課題の中でも大雨による土砂災害や、いつ発生するかわからない南海トラフ巨大地震への備えは、地域全体で取り組むべき重要な課題です。これらの課題を前に、今一度、私たちは自らの足元を見つめ直し、これからも一歩を踏み出していかなければなりません。

一方で、本年度に開催される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界中の人々や国々が協力して地球規模の課題を解決することをめざしており、技術革新と国際協力の象徴として、未来に向けてどのような社会を築くべきかを示す貴重な機会となります。これにより、大阪には世界中の注目が集まります。この機運を逃さず、私たちの運動や活動にも関心と共感が広がるよう、地域全体を巻き込みながら、持続可能な未来を共に創るために、今こそ行動を起こす時です。

私自身、大東青年会議所で賜った無償の愛とサポートのおかげで成長し、本年度を迎えることができました。私が伝えたいことは「自ら動いていこう」ということです。ただし、それは1人で動くのではなく、それぞれが信念を持ち、小さなことでも周囲の人と一緒に取り組んでいくことです。「誰かがやるだろう」「やらされる」ではなく、見返りを求めず、自ら進んで行動してまいります。

 

【総務広報委員会】~組織力のさらなる向上~

JC運動を力強く推進していくためには、基盤となる組織体が必要です。規律に基づいた厳格な組織運営はもちろんのことですが、今一度メンバーが組織のあり方を再認識し、ベクトルを合わせることが重要です。組織の要として全体を見渡し、急激に変化する社会情勢の中で柔軟に対応するために十分な準備と知識が求められます。独立自尊の組織であるからこそ当たり前のことを当たり前におこない、自身に必要な準備を怠らず、組織の基盤を強固にし、さらなる運動を展開し続けてまいります。

運動の発信においては、身近な青年会議所となることが重要となります。これまで続けてきたSNSでの発信は一定の成果を上げているものの、まだまだその効果は限定的なものであり、今後も継続することで成果が現れます。JC運動を発信できる重要な役割であるからこそニーズにあった調査をおこない、ターゲットごとに広報戦略を打ち立て広く発信することが重要だと考えます。そして本年度の発信効果を検証し、効果的なポイントを継続、かつ発信回数を増やしていくことで、大東青年会議所がより身近な存在として感じていただけるブランディングを確立してまいります。地域の方々や企業にその価値を認めていただき、地域でさらに求められる団体として躍進することが、ビジョンの達成につながると確信しています。

 

【まちづくり委員会】~パートナーシップの醸成~

近年、日本全体を見れば、地域の不活性化につながる潜在的な要因として、高齢化、人口減少、コミュニティーの希薄化が挙げられます。こうした要因の構成要素を更に細分化するならば、最小の単位として”人”があり、その次に団体や企業・学校・行政といった組織が続きます。他の都市で既に問題となっているこれらの現実に目を背けず、我がまち大東をより活性化させ、豊かな社会を実現するためには、より強固なパートナーシップを築くことが必要不可欠です。

これまでにも大東青年会議所は、企業訪問や地域団体への出向を通じて、協働によるまちづくりを推進してきました。本年度はさらに誰もが輝くやさしいまちの創出に向けて、取り組みを進めてまいります。JCしかない時代からJCもある時代と言われるようになって久しいですが、わがまち大東には地域をよりよくしたいという想いを持った団体が数多く存在します。これらの団体が協力し合い、その相乗効果を最大化することこそが、未来都市「大東」への大きな一歩となると確信しています。そのためには各種団体がこれまで、まちの課題に取り組んできた中には共通する課題が多く存在しており、この課題に対応するためには各種団体がこれまで培ってきた知識や価値観を共有し、互いに認め合い、交流を促進することで、まちの情報を水平展開するモデルケースが可能となります。さらに地域の発展を願っておこなう事業の中で、団体同士が深く知り合うことで、それぞれの事業に新たな気づきを得ることができます。このように相乗効果を生み出すことにより、わがまち大東をより活性化させることが可能となり、強固なパートナーシップが形成されます。そしてこのパ

ートナーシップこそが、未来に希望が溢れる誰もが輝くやさしいまちの創出につながると確信しております。

 

【青少年育成委員会】~自らの力で切り拓こう~

現代社会は急速に複雑化しており、私たちは日々、膨大な情報と多様な選択肢に直面しています。こうした状況の中、子どもが自分で考え適切な選択をする力がこれまで以上に重要です。特に、情報が溢れるこの時代においては、子どもが経験を積み、自ら判断し、困難を乗り越えるやり抜く力が必要不可欠です。

日本では、少子化と都市化が進行する中で、子どもの存在は今も変わらず宝として認識されています。子どもの発達は、子ども自身が周囲の環境と相互に関わり合いながら、自らの経験を基に成長していく過程です。この成長の中で、豊かな心情、意欲、そして他者との関わり方を学び、新たな能力を身につけます。そのため、自他の尊重の意識を育む経験を重ねることは重要です。

しかし近年、親が子どもに過度に関与するケースが増えてきています。このような教育スタイルは、子どもが自ら問題を解決し、粘り強さを養う機会を奪うことにつながります。その結果、その環境で育った子どもが成人後に問題解決能力が不足する傾向にあることが明らかにされています。こうした状況では、子どもが将来的にキャリアや人間関係において困難に直面する可能性が高くなります。やり抜く力は単に困難を乗り越える能力だけでなく、人間関係の強化や社会全体への貢献にもつながる重要なスキルです。何事も自分の力でやり抜くことを経験した子どもは、より豊かな未来を切り拓くことができます。そして我々が、子どもが自らの力で問題を解決し、成長する機会を提供することで、子どもの未来における充実した人生を送るための重要な基盤となります。

 

【交流委員会】~交流から生まれる友情~

大東青年会議所は、本年度で創立54年目を迎えます。この長い歴史は、先輩諸氏が「明るい豊かな社会」の実現をめざし、様々な課題に取り組んでこられた結果、地域での信頼を築き上げてこられた軌跡です。時代と共に常識や組織の環境は変化してきましたが、私たちはこれまでの歴史に感謝の念を持ち、その中で受け継がれてきた「熱い想い」を次の世代へとバトンをつないでいかなくてはなりません。来年度の創立55周年に向けて、礎を築いてこられた先輩諸氏と交流を図ることで歴史を紡ぎ、さらにその想いを深めることで次の一歩をより力強く踏み出すことができると確信しています。

また、我々と志を同じくする他LOMとの交流は、JCの運動やJC活動のみならず人生においても非常に重要です。大東青年会議所に入会したメンバーとの交流はもちろん大切ですが、他LOMとの積極的な交流を図ることで新たな価値観に触れることができ、自身成

長につながります。そのためにはJC活動に積極的に参加し、他LOMとの交流を図ることが必要です。出会いを大切にし、縁を感じながら、一生のつながりになれるような関係を築くことが私たちにとって大切な経験になります。こうした交流がJC三信条である「奉仕」「修練」「友情」を築くための基盤となり、共に切磋琢磨できる環境を作るための大切な要素となります。他LOMとの交流を通じてメンバー一人ひとりが出会いの大切さを認識し、積極的に交流することで個々が成長する原動力となり、持続可能な組織の成長につながると確信しています。

 

【会員開発委員会】~当事者意識の醸成~

昨年、大東青年会議所では多くの新入会員を迎え入れましたが、他LOMにも共通する課題として、「入会しても長続きせず、すぐに辞めてしまう」という現状が見受けられます。JCでは40歳を迎えると卒業という制度があるため、新しいメンバーを迎える拡大運動は必要となりますが、それと同じくJCの本質をメンバー同士がいかに共有し、共感できるかということが重要になってきます。実際、大東青年会議所でも、期首時点での会員のうち、入会歴の浅いメンバーが多くを占めており、JC運動やJC活動に対する理解が十分でないメンバーが多い状況です。このような現状を踏まえ、改めて組織としての団結力を高めるだけでなく、メンバーが青年経済人として一人ひとりが知見を広げ、地域を共創する当事者意識を持った意欲ある人財に成長する必要があります。そのためにはメンバー同士の絆を深め、活動に積極的に参加する中で、自身に求められている役割や果たすべき使命について改めて考える機会を提供することが重要です。そして、メンバーが地域社会を活気づける事業に直接関わり、事業を通じて地域のために何ができるのかを考え表現する場を設けることが有効です。その過程で、「不易流行」の考え方を実践し、変わらない基本理念を守りつつ、時代に応じた新しい価値を取り入れていくことにより、メンバーのJC活動への参加率が向上し、当事者意識が芽生えることで、組織全体の活性化につながると確信しています。

 

【フォロワーシップ育成委員会】~フォローアップにきめ細やかさを~

青年会議所は「明るい豊かな社会」の実現という理念を掲げ、メンバーが自らのリーダーシップを発揮しながら、地域社会や国際社会に積極的に関与することを推進しています。これは単に自己成長をめざすだけでなく、社会的責任を果たすことをめざす組織でもあり、メンバーは互いに切磋琢磨しながら、未来を切り開くリーダーとして成長していかなければなりません。

大東青年会議所は来年度に創立55周年を迎えます。この節目を迎えるにあたり、組織が効果的に機能し、成功を収めるためには、リーダーシップだけでなくフォロワーシップも重要であり、組織全体の目標達成に向けて欠かせない存在です。フォロワーシップとは単にリ

ーダーに従うだけではなく、積極的に貢献し、利他の精神をもってリーダーをサポートする重要な役割です。JCという組織においてメンバーが利他の精神を持って行動することで信頼に基づく人間関係が築かれ、組織全体に団結力が生まれます。フォロワーとしての役割を理解し、メンバー全員が目標達成に向けて力を合わせることで、リーダーはより力を発揮しやすい環境が整います。結果として事業を成功へと導き、さらには組織自体の成長にもつながり、リーダーとフォロワーが協力して働くことで、組織はより強力な成果を生み出すことができます。フォロワーシップを発揮するメンバーが揃うことにより、組織全体の力が最大限に発揮され、大東青年会議所がこれからも成長を続けると確信しております。

 

【周年事業準備会議】~未来への懸け橋~

2021年、大東青年会議所は創立50周年を迎え、創立60周年に向けたビジョン「Re:Start-up」を掲げました。答えのない時代だからこそ、固定観念に囚われずに想像力を発揮していく、新たな大東青年会議所の起動元年を迎えました。そこでは情報戦略、未来都市戦略、交流戦略、組織成長戦略、青少年健全育成戦略が掲げられ、今年でその活動は4年目となり、ビジョンに示された5つの戦略に基づき、各年において多くの取り組みを進めてまいりました。2025年では10年計画の中間点を意識し、創立以来53年間の歴史を振り返りながら、改めて方向性を認識します。そして来年度は創立55周年を迎えるにあたり、ビジョンの推進状況を検証するうえで、本年度は「無限の地域力の向上」に重点を置いて活動を進めてまいります。

地震大国日本において、南海トラフ巨大地震はいつ発生してもおかしくありません。万一地震が発生した際には、津波や火災といった二次災害が発生し、特に沿岸部では大きな被害が予想されます。このような状況下で、大東のまちはどうなるでしょうか。大東市は大雨による洪水や土砂災害が多く、公助により、避難場所の設置は一定程度進められていますが、最も重要なのは地域全体で助け合う「共助」です。避難場所まで移動できない人々の支援や、安全な避難経路の確保、避難所でのボランティアスタッフの調整、支援物資の受け入れと分配など、地域のリーダーであるJAYCEEが果たすべき役割は多岐にわたります。

大東青年会議所として、各種団体との防災協定の準備を進めるとともに、メンバー全員が災害時にどこへ集まり、何をおこなうべきかを認識する必要があります。全員が当事者意識を持ち、万が一の時にはリーダーとして地域の防災力を向上させることが求められます。これこそが地域を守る責任感と行動力の結集であり、私たちのめざすべき姿です。

 

【むすびに】

私は2016年に大東青年会議所に入会し、本年度で10年目を迎えます。この間、様々な人との出会いがあり、それが私の成長するきっかけとなりました。気がつけば、私も最終

年度を迎え、多くの後輩たちができ、在籍メンバーに何を残せるのかを考える日々が続いています。私が先輩諸氏から学んだことは、「責任」と「信念」です。メンバー一人ひとりが誰かのため、そしてまちのために行動する。その行動が他者の共感を生み、結束力を高めることを学びました。誰かが行動を起こすのを待っていては、何も変わりません。自分を信じ、仲間を信じ、そして行動することこそが、青年会議所で私が学んだ最も重要なことです。来年度は創立55周年を迎える大切な年です。皆が当事者意識を持ち、行動に移すことで、組織としてさらなる成長を遂げると確信しております。

一般社団法人大東青年会議所第54代理事長としての責任を自覚し、私自身も「責任」と「信念」を持って行動してまいります。